肺癌の組織型

肺癌の組織型

Lung Cancer Types

概要

**肺癌(Lung cancer)**は、肺に発生する悪性腫瘍の総称です。
肺癌は、**どの細胞から発生したか(組織型:histologic type)**や、**肺のどの部位にできたか(中枢・末梢)**によって、症状の現れ方、進行の速さ、治療方針、予後が大きく異なります。

臨床的には、肺癌は大きく

  • 非小細胞肺癌(Non–small cell lung cancer:NSCLC)
  • 小細胞肺癌(Small cell lung cancer:SCLC)

に分類されます。
腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌は非小細胞肺癌に含まれます。


主な肺癌の組織型

① 腺癌(Adenocarcinoma)

特徴

腺癌(Adenocarcinoma)は、現在最も頻度の高い肺癌の組織型です。
主に肺の末梢(peripheral lung)
、すなわち肺の外側部分に発生します。

疫学的特徴

  • 非喫煙者や女性に多い
  • 受動喫煙や大気汚染との関連も指摘されています
  • 以前は喫煙者に少ないとされていましたが、現在では喫煙歴のある方にも発生します

症状

末梢に発生するため、初期には症状が乏しいことが多く、健康診断の胸部X線やCTで偶然見つかることもあります。
進行すると、以下の症状がみられます。

  • 咳、息切れ
  • 胸痛
  • 体重減少

また、慢性的な低酸素状態により、**ばち指(clubbing)**を伴うことがあります。

臨床的特徴

腺癌は、**遺伝子変異(EGFR変異、ALK融合遺伝子など)**を伴うことがあり、分子標的治療(targeted therapy)の対象となる場合があります。


② 扁平上皮癌(Squamous Cell Carcinoma)

特徴

**扁平上皮癌(Squamous cell carcinoma)**は、肺の中心部(central lung)、特に太い気管支付近に発生することが多い肺癌です。

疫学的特徴

  • 喫煙と強く関連しています
  • 長期間の喫煙歴がある方に多くみられます

症状

中心部に発生するため、比較的早期から症状が出やすいのが特徴です。

  • 血痰(hemoptysis)
  • 息切れ
  • 肺炎を繰り返す

合併症

扁平上皮癌では、腫瘍が**副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)**を産生することがあり、
**高カルシウム血症(hypercalcemia)**を合併することがあります。

高カルシウム血症により、

  • 口渇
  • 倦怠感
  • 意識障害

などの全身症状が出ることがあります。


③ 小細胞癌(Small Cell Carcinoma)

特徴

小細胞癌(Small cell carcinoma)は、肺癌の中でも悪性度が非常に高く、進行が速いタイプです。
主に肺の中心部に発生します。

疫学的特徴

  • 喫煙との関連が非常に強い
  • 診断時にはすでに転移していることが多い

臨床的特徴

小細胞癌は、**神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor)の性質を持ち、
さまざまな
内分泌症候群(paraneoplastic syndrome)**を引き起こすことがあります。

代表的なものは以下です。

  • SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群:Syndrome of Inappropriate ADH secretion)
    → 低ナトリウム血症による倦怠感、意識障害
  • クッシング症候群(Cushing syndrome)
    → ACTH産生による高血糖、高血圧、筋力低下

治療の特徴

進行が速いため、手術よりも化学療法や放射線療法が中心となります。


④ 大細胞癌(Large Cell Carcinoma)

特徴

**大細胞癌(Large cell carcinoma)**は、肺の末梢に発生することが多く、
腺癌や扁平上皮癌の特徴を持たない未分化な肺癌です。

臨床的特徴

  • 増殖が速く、進行しやすい
  • 腫瘍がホルモン様物質を産生することがあります

合併症

  • 女性化乳房(gynecomastia)
  • 乳汁分泌(galactorrhea)

などのホルモン異常症状を伴うことがあります。


まとめ

肺癌は、組織型によって症状・進行・治療法が大きく異なる疾患です。

  • 非喫煙者に多い末梢型:腺癌
  • 喫煙者・中心部発生:扁平上皮癌、小細胞癌
  • 内分泌症状が目立つ:小細胞癌
  • 未分化で進行が速い:大細胞癌

早期発見と正確な組織診断が、治療選択と予後改善の鍵となります。


当院からのメッセージ

咳や血痰、息切れが続く場合や、健診で肺の異常を指摘された場合には、
早めの精密検査を受けることが重要です。
カラムス千駄木クリニックでは、必要に応じて専門医療機関と連携し、適切な診断と治療につなげています。

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